あれ?最近めっちゃNFT流行ってるじゃん。Twitterでもいろんなクリエイター達がNFTをミントしているし、転売したら利鞘が取れそうだ。とりあえず何でも良いからNFTを買ってみて、売りに出したらそのうち売れるだろ。なんて思っていたら無理ゲーでした。これはマジ。NFTの転売で長期的に利益なんて出せるはずが無い。
2021年から盛り上がりを見せているNFT。写真やアート、音楽に至るまで、さまざまな分野で活躍している。
でもぶっちゃけ、儲かるかどうかを考えた時、個人的にはNFT転売はお勧めしない。クリエイターとして売り出すならともかく、NFTを転売することで利益を得る時代は来ない。よく考えたら分かるけど、そんなに頻繁に売り買いするような流動性がある仕組みじゃない。
結論から言えば、NFTで儲けたいならチマチマ転売なんかせずに、さっさとクリエイターになるべき。アートが描けないなら、アートを外注するか、他に儲かりそうなことを探す方がコスパがいい。今日はそんな話。
本記事を書いているダックスは、【株式(国内・米国)投資歴10年、暗号資産歴5年、仮想通貨運用額約400万円、ETF運用額約200万】。
多分、NFTをキッカケに仮想通貨界隈に参入してきた人と比べれば、市場を理解する目は備わっていると思う。
NFTの転売が儲からない4つの理由
NFTが儲かると思って転売を試みても、きっとうまく売れない。売れたとしても、超短期的な儲けだ。継続性、再現性など無い。
その理由は下記のとおり。
- NFT界隈は盛り下がり始めている
- NFT転売はチキンレース
- 資金拘束時間が長い
- 暗号資産購入までのハードルが高い
NFT界隈は盛り下がり始めている
国内のNFT界隈で最近話題性があるもの、といえば、イケハヤさんの「CryptoNinjaPartners」くらいだろう。あれほどのインフルエンサーがマーケティングをして、やっとあれくらいの活気が出るものだ。
一部のインフルエンサー達がNFT界隈を盛り上げようと勢力的に活動しているが、世界最大級のNFT(非代替性トークン)マーケットでもあるOpenSeaでは、NFT取引量が減少中だ。
2022年9月現在、グローバルナンバーワンDappsストアであるDappRadarの統計によると、世界最大のNFT(非代替性トークン)マーケットであるOpenSeaの取引量は、ピークであった5月頃から、わずか4ヶ月足らずで99%減少したとのこと。
OpenSeaはこの数字に異議を唱えているみたいだが、数字はともかく、NFTの取引量が激減していることには間違いなく、それ自体はOpenSeaも認めている(というか数字で如実に現れている)。
NFT界隈をSNSで追いかけてると分からなくなるけど、客観的に見ることも大事。NFTバブルが、今後も続いていくとは考えにくい。
NFT転売はチキンレース
チキンレース。自分で言うのもあれだが、言い得て妙だ。
NFTは、購入後に自分で価格を再設定し、再度売り出すことができる。これを2次流通という。
つまりNFTの転売とは、2次流通させるタイミングで購入時の価格よりも大きい価格で売りに出す必要があり、この差額が利益となる。
これだけ聞くと簡単に転売できそうな気がするが、甘い。売りに出したNFTが売れなければ何の得にもならないのだ。OpenSeaで適当に見繕ったその作品が、今以上の価格で売れるのか。その作品にそれほどの価値があるのか、よく見ておく必要がある。
例えば下記ツイートのような話を聞くと、気になるクリエイターをしっかりマークしておけば簡単に儲かりそうな気がしてくる。
600万円。控えめに言ってヤバイ。完全にNFTバブルじゃん。そう思う人もいるだろう。
しかし、このCryptoPunksは特別に有名なプロジェクトで、世界的にも注目されているNFTだからこそ成り立つ。一つ言えるのは、CryptoPunksはそれぞれががとんでもなく高く、我々一般人が手を出せる代物じゃないことは確かだ。
しかも、転売目的でNFTを購入したとしても、必ず売れるとは限らない。こう言った場合、高確率で「高値掴み」になる。
コレクター目的ならともかく、リスク許容度を超えた投資と言わざるを得ない。
しかし、NFTの転売で利益を得ている人がいるのもまた事実。
NFTで儲けている人は、1次流通されるNFT、しかも公式が出すものを狙っている傾向にある。CryptoPunksもその一つだが、もっとリーズナブルな例を挙げよう。
例えば、手塚治虫のブラックジャックジェネレーティブアートなどが有名だ。
公式からミントされるNFTを、抽選やオークションなど、1次流通段階で安く購入することができれば、転売できる可能性はグンと上がる。
ただ、有名どころが公式にNFTをミントするなんて滅多にないので、NFTの転売目的でOpenSeaに張り付いてるのもコスパが非常に悪い。
しかも2次流通できると決まったわけでわないし、実際にブラックジャックジェネレーティブアートは、そんなに高値で取引されていないし、2次流通も限定的だ。
つまり、いくら公式からミントされたNFTをゲットできたからといって、その「在庫」にどれだけの価値を感じるのかは人それぞれだし、売れ残る確率が高いものを他の人に受け渡す。それすなわちチキンレース以外の何でもない。
いつか値段が頭打ちになり、売りに出した値段では売れることなく、泣く泣く値段を下げて損失を被ることが目に見えている。
「NFTコレクター」として多くのNFTを購入し、コレクションを見てニヤニヤするだけであれば何も問題ないが、「儲けよう」と言う気持ちでNFTを購入しても現実は厳しい。
売れなかった場合、値段を下げざるを得ず、その結果損を被ることになるが、それ以外でもデメリットが存在する。それを次の項目で語る。
資金拘束時間が長い
NFTを買ったとしても、昨今のNFT市場はユーザーが減っていて、流動性も低いから、売れたとしても時間がかかることが想定される。売れずに在庫を抱えている状態になるので、その間、資金が拘束される。自分の資金を動かすことができない。
NFTはすぐに換金できないので、買い手がつかなければただのデータでしかないのだ。
例えば、CryptoPunksなど、数百万円のNFTを購入したとする。
それを2次流通させようと、さらに高値をつけて売りに出す。
しかし、いつまで経ってもNFTは売れない。市場価値を見誤ったのか?と疑心暗鬼になる。
数百万円は塩漬けとなり、使いたくても使えないただの画像データになってしまった。NFTは飯と交換できない。そんなことに今更ながら気付いたのだ。
金額こそ極端だが、数千円〜数万円のNFTでも同様のことが起こりうる。一般市民にとっては家計に大打撃だ。妻には口が裂けても言えない。
そもそもNFTを始めて出品する際には、ガス代と呼ばれる手数料もかかる。この手数料は数千円から、高い時では数万円の場合もある。
この記事での言及は避けるが、下記の記事で少し触れているので見てみると良いだろう。
https://dachsblog.com/start-nft/how-to-start-nft/結局のところ、「安く売って高く売る」と言う商売の原理原則から逃れる事はできない。商品価値を見誤った瞬間に、勝負は決まっているのだ。
では、仕入れ価格が0円なら、どうやっても儲かるのではないか。
TwitterのNFT界隈では、無料ギブウェイみたいなキャンペーンも行われていて、そのクリエイターをフォロー&リツイートすることで全ての人にNFTが配布される、そんなキャンペーンが流行っている。
でもよく考えてほしい。フォロー&リツイートしただけで、多くの人が所有できるそのNFTにどれほどの価値がつくと言うのか。NFTの自慢でもある「唯一性」とは乖離しまくっている。しかも、そのクリエイターは無名だ。全くもって誰かわからない。無料でNFTを配っているからフォローしただけだ。
そんなクリエイターのNFT、お金を払ってまで買いたいと思う人がどれだけいるのか。ハッキリ言って2次流通させるなんてことは考えない方がいい。
まして「転売して儲ける」なんて事はできないと思っておいた方が良い。コレクションに加えてニヤニヤするだけに止めておくことだ。
暗号資産購入までのハードルが高い
暗号資産、いわゆる仮想通貨を購入するには、初心者にはなかなか越えられないハードルがある。
仮想通貨と聞くと、コインチェックの「NEM流出事件」が記憶に新しいのか、危険なイメージが世の中に浸透していて、仮想通貨=悪みたいに捉える人も少なくない。
そんな仮想通貨を積極的に購入し、さらにGOX(紛失)するリスクを負って、高額なNFTを買う人は、この世の中にどれぐらいいるのだろうか。
暗号資産購入までのハードルが高い、つまりは新規ユーザーがNFT市場に参入しにくく、NFTの流動性が低い状態が続くと言うことだ。
やってみるとそうでも無いが、やはり初心者にはハードルが高い。
下記の記事では業界一使いやすいと有名な仮想通貨取引業者、「コインチェック」の口座開設について解説している。意外とサクッと口座開設できることが分かると思う。
https://dachsblog.com/start-nft/coincheck-account-opening/食わず嫌いで仮想通貨を嫌う人は多い。そのハードルを乗り越えて、さらに2次流通されたNFTを購入するにはハードルが高い。
NFTアートの転売は、先行者利益があったり、マーケティングが不要であったりとメリットはあるが、それを差し引いてもNFTで恒常的に儲けることは難しいと考えるのが普通だ。
儲けるならクリエイターになった方が良い
結局のところ、NFTバブルで一番うまい汁を吸っているのはクリエイター達だ。その中でもSNSマーケティングがうまい人は、新作をミントするだけでどんどん売れていく。逆を言えば、SNSマーケティングが下手な人は、いくらミントしても売れないのが現実だ。
だからこそ、「NFT界隈」と呼ばれるような一種のコミュニティでは、クリエイター同士がお互いを褒め、繋がりながら、NFT界隈を盛り上げていく事が必要なのだ。馴れ合いを嫌うような一匹狼みたいなNFTアーティストは、よっぽど魅力的なアートを生み出さない限り、この世界で生き抜くことは難しい。積極的に他のクリエイター達とコミニュケーションを取り、NFT界隈を盛り上げることに注力すべきだ。
昨今のNFTバブルでは、作品が魅力的でなくとも、クリエイターが持つ「ストーリー性」に魅力を感じる人もいる。例えば「NFTで借金返済を目指すクリエイター」だとか、「NFTで子どもを育てるクリエイター」だとか、誰かが応援したくなるようなストーリーを抱えたクリエイターは、絵が下手であろうが何だろうが物珍しさで買われることも少なくない。
ただ、それはNFTバブルと呼ばれる中で、一部の金持ちが面白半分で買っただとか、そう言うパターンがほとんどだ。ストーリー性をつけるなら、クリエイターではなく、作品自体に付けるべきなのは言うまでもない。淡い期待を抱きながら適当なNFTアートを売り出すのは時間の無駄だからやめておいた方がいい。
まとめ
本記事の冒頭で述べたとおり、NFTで儲けたいならさっさとクリエイターとしてNFTアートを量産すべき。そしてTwitterで他のクリエイター達と絡んで、NFT界隈を盛り上げて欲しい。儲けるためにNFTの転売に手を出しているなら時間の無駄だから、さっさと他の事をした方が、自分のスキルも育つ。人生は有限だから、よく考えて行動しよう。
https://dachsblog.com/start-nft/how-to-get-started-with-nft/